おしり(肛門)のかゆみ

我慢できない「おしり(肛門)のかゆみ」に悩まされた事はありませんか?
最近「おしりがかゆい」症状に悩まされている人が増えているそうです。
なんと人口の約5%も居るんだそうです。
年代・性別関係なく、お子様からお年寄りまで、
様々な方が悩まされてるのだとか…。

目次

おしりのかゆみの病名は?

おしりのかゆみは、肛門掻痒症(こうもんそうようしょう)と言われています。

入浴後や就寝中、身体が温まって来ると強いかゆみを感じたりします。
就寝中に無意識のうちにかいて傷つけたり、
排便後にトイレットペーパーで強くこすったり、
入浴の際にタオルでゴシゴシ洗ったり、
さらに市販のかゆみ止めを塗ったりして、
かえってかゆみが強くなるような悪循環を起こしている人もいるようです。
かゆくて眠れないなど、不眠やメンタル不調の原因になることもあります。

最初の頃は、肛門の周りがちょっと赤くただれる程度ですが、
かゆみが長期に渡ると、肛門周囲の皮膚が白っぽく厚くなり、シワが出てきます。
悪化してしまうと、真っ赤にただれてしまったり、
赤黒く腫れあがったりすることもあります。
そうなると、「肛門掻痒症」から、
「肛門周囲炎」「肛門湿疹」「肛門皮膚炎」などの、
いろんな病名に変わって行き、治療も困難になっていきます。
おしりのかゆみの他、下着の汚れや、肛門がべとつく等の症状があります。

おしりのかゆみの原因

一口におしりのかゆみと言っても原因は様々です。

排便時の便の拭き残し

下痢や軟便、便秘で出しきれなかった便がトイレットペーパーで拭ききれずに
肛門付近に付着してしまい、それが刺激となり、かゆみが起こるケースです。
食べ物を消化吸収する際に体内から分泌される「胆汁酸」
便が茶色い色の素なのですが、この胆汁酸が刺激となります。

さらに便の中のカンジダ菌・水虫やたむしなどの原因となる真菌など、
細菌やウィルス・ぎょう虫等の寄生虫により、
炎症を起こす場合があります。

最近は、溶連菌に感染し、肛門の周りの皮膚が赤くなりかゆくなる
「肛囲溶連菌性皮膚炎」が、子供だけでなく、大人にも増えています。
溶連菌の場合は、検査キットですぐに結果が分かり、
抗生物質での治療ができます。

下痢などお腹がゆるみがちの方、便秘がちの方は、
食事やストレスを減らすなど、生活習慣の見直しをして、
「バナナ状の理想的な便」を出すようにしましょう。
便が漏れる症状がある方は、
肛門科や肛門疾患専門外来の受診をおすすめします。

トイレットペーパーで拭くことで、便を肛門周りの皮膚に
塗り付けてしまう場合があります。
洗い過ぎも逆によくありませんが、入浴でおしりを清潔にする。
短時間でいいので温水便座でサッと流し、
トイレットペーパーで水分を優しく拭き取る。
外出先で温水便座が無い時は、トイレットペーパーを軽く水で濡らして拭く。
携帯用のおしり洗浄器も市販されていますので、
気になる方は購入を検討するのも良いでしょう。

病気によるもの

痔核(いぼ痔)、痔瘻(じろう)、裂肛などの痔症状、腸の病気、
糖尿病、婦人科疾患、肝臓疾患、腎疾患、ビタミン欠乏症、
ボーエン病やパジェット病などの皮膚の悪性腫瘍が原因で、
肛門の周りに粘液が付着し、かぶれやただれが起きます。
また、粘液でじめじめした環境になった所にカンジダ菌などの
雑菌が繁殖して、おしりがかゆくなったりします。

まずはこのような、病気を治療することが大事です。
粘液の分泌が多すぎる場合、お薬で改善しない時は、
大腸の炎症はじめ他の要因があるかもしれないため、
大腸内視鏡検査や、肛門周辺の組織などの精密検査をする場合があります。

石けんや軟膏、食べ物、薬、汗によるかぶれ、
石けんや軟膏、カフェインや乳製品、アルコール、香辛料、
内服薬の副作用などでも、おしりのかゆみが出ることがあります。

まずは病院で、かゆみの原因を特定するのが先決です。
内服薬が原因なら、医師に相談して他の薬に変えてもらう。
食べ物が原因の場合は、摂取をひかえる。
消毒用アルコールで肛門を拭いたりする行為は、
かゆみを増幅させる原因になりますので止めましょう。
入浴時に石けんで洗い過ぎない事も大事です。
特に湿疹やかぶれがある場合は、お湯だけで洗い流すようにします。

市販の薬がクセモノで、逆に症状を悪化させる原因になる事があります。
例えばかゆみの原因が、水虫やたむし等の「真菌」による場合は、
通常かゆみの治療に使うステロイド軟膏は、
かえって症状を悪化される事があります。
市販薬でかえって悪化し、治りにくくなる場合も多いので、
肛門科・皮膚科などを受診し、自分に合った薬を処方してもらうのが大事です。

温水便座の使い過ぎ、おしりの拭き過ぎ

おしり周りの皮膚は傷つきやすく、固いトイレットペーパーなどで
何度も拭いたり、爪でかいてしまうと、簡単にひっかき傷ができてしまいます。
繰り返すことで、肛門周囲の傷が深くなってかゆみが酷くなったり、
雑菌が入って化膿してしまう事もあります。

温水便座の使い過ぎは最近、温水便座症候群と言われ問題視されているものです。
おしりの洗いすぎで皮脂が流されて乾燥し、
皮膚のバリア機能が低下してかゆくなるという症状です。
さらにおしり周りの皮脂だけでなく、
おしりの皮膚を守っている菌まで洗い流され、
逆に有害な細菌に感染してかゆみが起こりやすくなります。

温水便座を使う際は、水流弱めで・5秒程度で、
おしりについた便が流れればOKなのだそうです。
時に「強」で延々と流している人が居ますが、そこまでする必要はありません。
洗い流した後は柔らかめのトイレットペーパーで
水分を優しく拭きとりましょう。