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入院が必要な痔の手術に関しての補足です。
ちなみに、医療技術の進歩によって、
現在では多くの病院で
外来治療や日帰り手術がメインとなり、
入院して手術するケースはごく僅かだそうです。
いぼ痔(痔核)
内痔核
“3度”以上で
(詳細はいぼ痔の症状と治療法を参照下さい)
肛門内から痔核が大きく脱出してしまい、
痛みや出血等で日常生活に支障をきたしている時。
患者さんの症状や医師の判断で異なりますが、
3度以上でも、外来処置(日帰り手術)で済むものと、
入院手術が必要なものがあります。
外来処置(日帰り手術)に関しては、
痔の外来処置(日帰り手術)をご参照下さいませ。
主な入院を必要とする手術をご紹介いたします。
結紮(けっさつ)切除法(半閉鎖法)
内痔核の根元(内痔核に繋がる動脈部分)を縛って、
そこから先を切り落とします。
10日~2週間ほどの入院して行います。
手術にかかる時間は、1ヶ所10分~15分位程で、
その日のうちに歩行可能、
術後2日目からは入浴もできますが、
手術によって出来た傷を縫合しないために、
術後の排便時に痛みがあるのが難点です。
半閉鎖法
結紮切除法では痔核を取った後は、
縫合するよりも回復が早いという理由で、
患部は縫合せず、自然に傷が回復するのを
待つというやり方でした。
しかし、このやり方ですと、
術後の排便時に激痛や出血を伴いますし、
ばい菌が入って化膿する可能性もあります。
そのため、半閉鎖法が考えられました。
半閉鎖法は、手術によって出来た肛門の傷の
内側半分のみを縫合し、外側半分縫合せずに
自然に回復するのを待つやり方で、
患部の出血や痛みが軽減するほかに、
化膿や肛門が狭くなるという‘後遺症’を
防ぐ効果があります。
肛門括約筋保護手術
肛門括約筋に傷をつけないように、
保護しながら行う手術法です。
括約筋が傷つくことによって起こる
肛門のゆるみ(便失禁等)などの
後遺症を防ぐ効果があります。
PPH法(つり上げ法)
痔核を切らずにそのままにして、
機械を使って肛門の上の直腸を、
約2cm幅にぐるっと輪切りに切りとって、
切り取られた後の上の部分と下の部分を、
着物の「上げを取る」ように縫い合わせ、
垂れ下がった痔核の位置をつり上げるように、
上にずらす方法です。
数日の入院で済みますが、
腸を切りすぎて直腸の筋肉を傷つけてしまうと、
肛門が狭くなったり、脱肛や腹膜炎などの
重い後遺症が残ることもあるそうです。
外痔核
血栓性外痔核(血豆状のいぼ痔)が大きく腫れて、
薬だけではどうにも治らない場合に、
外痔核そのものを切除したり、
中の血豆の部分のみを取り出す手術をします。
内痔核の症状が進むと、外痔核を伴うようになります。
その際も手術が必要になります。
切れ痔(裂肛)
側方内括約筋切開術
排便により、肛門が切れるのを繰り返しているうちに、
括約筋が炎症を起こし、緊張して狭くなってしまい、
排便が困難になってしまった時に、
肛門を切って広げる手術
(LSIS:側方内括約筋切開術)をします。
※詳細は、痔の外来処置(日帰り手術)参照。
あと、切れ痔が進行すると、
肛門の傷の周辺の皮がたるんで、
いぼ痔のように肛門外に出て来る事があります。
(“皮垂”“見張りイボ”と呼ばれます)
日常生活の支障になる等、患者さんが気になる場合は、
それを切除する手術を行います。
皮膚弁移動術(SSG)
肛門が狭くなってしまった場合に、
1~2週間入院して行う手術です。
この場合は、“裂肛”や“皮垂”を取ったあとに、
その後ろの皮膚を引っ張ってきて、
肛門をを広げるように継ぎ足して傷を埋めます。
手術後は痛みがある上に、
肛門機能が低下する可能性もあり、
現在ではあまり行われていないようです。
痔ろう
痔ろうは肛門内にばい菌が入り、膿が溜まって、
その膿がお尻の外側にトンネル状に穴を開けてしまう病気で、
手術以外に治りません。
手術は、
・開放術式
・肛門括約筋温存手術(くりぬき法)
・シートン法
などがありますが
(詳しくは痔の外来処置(日帰り手術)参照)
いずれも、トンネル内の膿によって
腐った部分を取り除いて回復をはかるものです。